超難症例、ザイゴマのケースをAll-on-4(オールオンフォー)で
今日の症例は、どこの歯科医院でもインプラントを断られ、なんども入れ歯を作っても合わずに苦しんでこられた患者さまのケースです。

ザイゴマとは上顎臼歯部歯槽頂からドリリングを開始し、上顎骨頬骨突起と頬骨上顎突起の合わさる凹みがあるのでそこの皮質骨を形成し固定させる物で、7cm以上の長いインプラントが入ります。手術はとても難しく、危険性もあるため、あべひろ総合歯科では行っていません。分かりやすく言うと、眼球の横すれすれの部分に埋入するもので、少しのズレも許されないのです。日本人は特に骨が薄く、また口が小さいという特徴があります。そして口角が伸びにくく、術野を明視野におけないのも日本人の特徴です。
ともあれ、ノーベルクリニシャンで設計しても、ピンポイント埋入であること、ナイフエッジの骨であることを考えると、全顎的に剥離してすべて見える状態にして埋入していくのが一番安全です。相当慣れているインプラント外科医でないとこの症例は手が出せないでしょう。通常の口腔外科では難しいです。なぜならピンポイントのテクニカルセンシティブも求められ、柔軟な状況対応が求められるからです。そしてインプラントを埋入するための戦略や、最終上部構造をも考えて行わなくてはならないのですから。


ノーベルバイオケア社の「パラレルCC」、もしくは「スピーディー&グルービー」というインプラントデザインじゃないと対応出来ません。今回はインターナルデザインではありますが、パラレルCCを選びました。なぜならば、ネジ山露出と人工骨の併用、そして術後骨吸収が許されないケースだからです。


大学病院では難しすぎて対応はできないであろうし、一般的なスーパー専門医に依頼すればザイゴマにされてしまう症例です。今回のように最小限で最大限の効果を得られるAll-on-4(オールオンフォー)で対応出来た意義はとても大きいです。
これだけの大手術ですが、2時間掛からず終了。静脈内鎮静麻酔(セデーション)を使っているので、患者さんはただ寝ているだけで、痛みも不快感もありません。手術が終わった後も、全く何をしたか覚えておらず、グッスリ眠れたと話されていました。
上顎だけでも固定式の歯が入ったことをとても喜んでいました。私もうれしいですし、歯科医師をしていて良かったなと感じます。上顎が安定したら、次は下顎を行う予定です。
インプラントをご希望の方は是非、あべひろ総合歯科へご相談ください。最近は海外出張が多く、ややアポイントが取りにくい状況ですが、お困りの方がおられれば昼休みの時間なり、診療が終わった後の時間を使ってご相談に応じております。悩んでいるだけでは何も解決しません。まずはお気軽にご相談ください。 « スタッフブログ一覧へ