ブリッジのメリット、デメリット

むし歯や歯周病などで歯を失ってしまった場合、一般的な治療は「ブリッジ」です。
皆さんのお口にも、すでにそのブリッジで治療したことがあるかもしれません。
これからブリッジの治療をする…とう方にとっても、すでに治療後の患者さまであってもブリッジとはどのような治療方法で、どんなメリット・デメリットがあるのか。
ホームケアでのリスクと、歯が抜けたあとの骨はどうなっているのか?
歯が抜ける前とどう違うのか?など、今まで知らなかったことがたくさんあります。
抜けた歯の治療法はいくつかありますが、ここでは一般的な「ブリッジ」について皆さんの知識と理解を復習してみましょう。
そして、ご自身にとってベストな治療法はどのようなものがあるのか?と歯科医院へ相談するキッカケにしてください。
そもそもブリッジってどういうもの?
歯のブリッジとは、歯を失ってしまったときにその前後の歯を削り、橋のような形状をした人工歯を繋げる治療法です。
失ってしまった歯の前後の歯を土台とし、その2本の歯に橋を架けるようにして3本の歯を作ります。
ブリッジをかける前後の歯には1.5倍の噛む力がかかってしまうこと、健康な歯を削るというデメリットはありますが、これまでは、一般的な治療を言えるでしょう。
危険!歯を失った部分を放置すると…?
「食事もできるし、特に問題がないから…」と、歯を失ったままにしていませんか?
歯を失ったまま放置しておくと、下記のような様々なリスクが発生してしまうのです。
対合歯(噛み合う歯)が伸びてくる
歯は、噛み合う歯や隣り合う歯があることによって正しい位置に留まっています。噛み合う歯が抜けてしまい、その隙間をそのまま放置しておくと、これまで噛み合っていた歯がだんだんと伸びるように動いてきます。
歯だけが伸びてきてしまうこともあれば、骨ごと動いてしまうこともあります。
前後の歯が倒れてきてしまう
歯を失ったままにしておくと、その隙間を補おうとして前後の歯が倒れてきます。斜めに傾いてしまった歯には汚れが溜まりやすくなるため、歯周病やむし歯のリスクも高くなります。
発音がしにくくなる
歯を失って出来た隙間から息が漏れてしまい、言葉を発音しにくくなります。発音はご自身ではわかりにくいのですが、歯を失って長い間放置することで舌の位置や頬の筋肉の位置が変わり、周囲から聞き取りにくい発音になっていくので注意が必要です。
しっかりと噛めず、胃に負担がかかる
歯を失ったご本人にとっては「少し噛みにくくなったかも?」程度の自覚でも、奥歯1本を失うだけで全体の噛む力は30%~40%も低下してしまいます。
歯で食べ物をしっかりと噛むことができずに飲み込んでしまうため、胃に負担をかけてしまうことになり、全身にも悪影響を及ぼします。
奥歯を失うと出っ歯になる
奥歯は、顎や咬み合わせを決める重要な役割を果たしています。
奥歯を失ってしまうと咬み合わせが深くなっていき、前歯がぶつかるようになり少しずつ出っ歯になっていってしまいます。
顔の形が変わってしまう
歯を失い歯並びが左右非対称になることで、噛み癖が付いてしまいます。歯がある方でばかり食べ物を噛むようになると、顔の周りにある筋肉の太さが変わってきます。
噛める側の顔はハリを保ち、噛めない側の顔はハリを失っていくので見た目も左右非対称になってしまいます。
体のバランスが崩れる
歯を失って咬み合わせがずれていくことによって、体のバランスも崩れてしまうことがあります。
歯を失うことによって顎の位置が変わることで体全体が歪んでしまい、平衡感覚を失っていくこともあるので全身に悪影響を及ぼす前にお早めの治療をおすすめいたします。
スポーツ時などの瞬発力が失われる
スポーツなどで瞬間的に体に力を入れるとき、奥歯を食いしばることによって体の体幹を固定します。
奥歯でしっかりと食いしばることができないと、体のバランスが崩れて瞬間的な力を出すことが難しくなります。
認知症のリスクが高まる
顎の筋肉や神経が脳に直接繋がっていることをご存知ですか?脳は奥歯でしっかり噛むことによって刺激を受け、活性化します。それによって認知症のリスクが下がるのですが、噛むことができなくなると、当然認知症のリスクも上がってしまいます。
歯を失った場合のブリッジ以外の治療法は?
インプラント
インプラントとは、歯の抜けてしまったところにチタン製の人工歯根を植えこんで、天然歯と同じような機能を回復する治療法です。
あごの骨とインプラント(人工歯根)を結合させた後に人工歯を装着するので、天然歯と同じように食べ物を噛むことができます。
「永久歯に続く第3の歯」とも呼ばれる精度の高い治療です。
入れ歯
入れ歯とは、取り外しができる人工歯のことです。
入れ歯には部分入れ歯と総入れ歯があり、保険が適用になるものと自費で作製できるものなど、様々な種類があります。
手軽に作製でき、ドラッグストアにも入れ歯専用のクリーナーや接着剤が販売されていて、歯を失った際の最も一般的な治療法といえますが、異物感が強いこと、お口の環境の変化にあわせてフィットさせるために、常に調整が必要になります。
歯牙移植
歯牙移植とは、歯を失ってしまった箇所の骨に穴をあけ、親知らずを移植する治療方法です。
歯牙移植は移植できる歯(主に親知らずを使用します)が存在し、移植に適した形状をしている必要があります。
成長段階で歯を失い、インプラント治療が難しい10代に選択されることが多い治療方法です。
ブリッジ・インプラント・入れ歯の比較
ブリッジ・インプラント・入れ歯は、それぞれにメリット・デメリットがあります。
機能性や審美性、費用や手術の有無など、患者様ご本人が何を重視するかによってお一人おひとりに最適な治療法は異なるものです。
メリットやデメリットをしっかりと理解し、最善の治療方法を選択しましょう。
ブリッジ

治療が可能な本数 | 1本~2本 |
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見た目の美しさ | 天然の歯に近い見た目 |
メリット |
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デメリット |
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インプラント

治療が可能な本数 | 1本~すべて |
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見た目の美しさ | 天然の歯に近い見た目 |
メリット |
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デメリット |
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入れ歯

治療が可能な本数 | すべて |
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見た目の美しさ | 周囲の歯と義歯の違いが目立つ場合がある |
メリット |
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デメリット |
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ブリッジのデメリットについて
どんな治療にも、良い面があれば当然悪い面もあります。
ここからはブリッジのデメリットについても詳しく見ていきましょう!
前後の健康な歯を削らなければならない
歯を失った部分を補うブリッジですが、装着するためには失った歯の両隣を削らなくては被せ物を入れられません。
もしもその歯がむし歯ではなく健康な歯だったとしても、ブリッジを固定するためにはかなりの量を削らなければなりません。歯は一度削ってしまうと元に戻ることはなく、歯の寿命も縮んでしまうため、ご本人に慎重に考えていただく必要があります。
「失った歯のため」とは言うものの、ご自身の健康な歯が削られてしまうリスクがあることをしっかりと理解しましょう。
土台になる歯の状態に左右されてしまう
例えば歯を失った部分の前後の歯のうち、1本が歯周病でグラついていて、もう1本が健康な歯だった場合、2つの歯で揺れ方が異なるためトラブルが起こりやすくなります。
主なトラブルとしては、ブリッジを歯につけている接着剤(セメント)が歯の揺れで溶け出してしまいます。ブリッジ自体が簡単に外れるということはありませんが、その接着剤が溶け出した隙間に細菌が入り込み、中でむし歯が進行してしまうのです。
痛みを感じ、ブリッジを外したころには中の歯はぐちゃぐちゃになっている…ということもあり得ます。
ブリッジを装着する前に担当の先生とよく話し合って、土台の状態が安全かどうかをしっかりと見極めてから治療に入るようにしましょう。
土台の歯が割れてしまうことがある
ブリッジを装着する場合、土台となる前後の歯には通常の1.5倍の力がかかることになります。食べ物を噛むときに、失ってしまった歯が負担するぶんの力も両隣の歯で負担することになるので、ブリッジで負担がかかりすぎてしまって土台の歯が割れてしまうということも十分あり得ます。
特に、土台となる歯が神経を抜いてしまった歯の場合は、健康な歯以上に注意が必要です。
ブリッジの種類
ブリッジといっても、様々な種類のブリッジがあります。
せっかくブリッジを装着しても、笑ったときやお口を開けたときに見た目に違和感があると、自信を持って人と会話することができません。
当院では皆さまに自信を持って生活していただけるよう、機能性と審美性を兼ね備えたブリッジをご提供いたします。
もちろん、患者様のご要望やご予算はしっかりと考慮したご提案をさせていただきますのでご安心ください。
硬質レジン前装冠保険適用
見える部分にレジン(白いプラスチック)、裏打ちが金属のブリッジで、保険診療で前歯のブリッジを作製するときに使います。
- メリット
- ・保険適用のため、比較的安価に作製できる ・色が白いので歯に馴染む
- デメリット
- ・時間の経過とともに黄ばんでくる ・耐久性が弱い ・磨り減ると金属が見えてしまうことがある ・表面が傷つきやすい ・金属成分が溶け出して歯ぐきが黒ずんでしまうことがある ・金属アレルギーの心配がある
銀パラジウムブリッジ保険適用
保険診療で奥歯のブリッジを作るときに最も使用されることの多いブリッジです。
一般的に「銀歯」と呼ばれているのがこの素材です。
- メリット
- ・保険適用のため、比較的に安価に作製できる ・金属のため強度がある
- デメリット
- ・硬いため、歯牙に負担がかかる ・金属なので見た目があまり良くない ・金属成分が溶け出し、歯ぐきが黒ずんでしまうことがある ・金属アレルギーの心配がある
ゴールドブリッジ自費
主に奥歯のブリッジを作製するときに使います。
長持ちし、性能がとても良いので見た目の気にならない奥歯にはゴールドブリッジがおすすめです。
- メリット
- ・天然歯に近い硬さのため、噛み合う歯を痛めない ・丈夫で、折れたり割れたりしづらい ・最も適合が良いため、むし歯が再発しにくい ・長持ちしやすい ・錆びにくい・劣化しにくい ・金属の中では最も金属アレルギーを起こしにくい
- デメリット
- ・金属のため、見た目が気になる ・稀に金属アレルギーを引き起こす可能性がある
メタルボンド自費
メタルボンドは、見える部分がセラミック、裏打ちが金属のブリッジで、前歯にも奥歯にも使用できることが特長です。
歯の色に似ているので見た目も良く、人気の素材です。
- メリット
- ・天然歯に近い色合いで透明感がある ・変色しない ・適合性に優れている ・金属アレルギーが起こりにくい
- デメリット
- ・天然歯よりも硬い ・歯ぐきとの境目が黒くなってしまうことがある ・磨り減って金属が見えることがある ・舌側の一部に金属が見えてしまう
ジルコニア・オールセラミック自費
ジルコニア・オールセラミックは、人工ダイヤモンドとしても使用されているジルコニア、白くて変色のないセラミックのブリッジで、前歯・奥歯の両方に使えるブリッジです。
金属を使用していないため、金属アレルギーの心配もありません。
- メリット
- ・透明感があり、最も天然歯に近い見た目 ・変色しない ・適合性に優れている ・金属を使用していないため、金属アレルギーの心配がない
- デメリット
- ・比較的高価

保険適用のブリッジは安価に作製できることがメリットですが、どうしても機能面や審美性で劣り、経年劣化による再治療を繰り返す必要があるなどのデメリットがあります。
再治療にかかる時間や費用を考えると、自費のブリッジを選択することで快適な使用感を得ながら再治療の可能性も抑えることができるため、自費診療でのブリッジ治療が特におすすめです。