口腔癌検診
口腔癌検診・口腔健診とは


口腔癌とは

そもそも癌とは、どのような病気なのでしょうか?
私たちの体は約60兆個の細胞から構成され、それら細胞が分裂を繰り返すことで新しく生まれ変わっています。細胞1つひとつにはDNA(遺伝子)が1組ずつ入っていて、細胞の働きをスムーズに行えるようコントロールしています。このDNAが傷つき突然変異を起こすと、異常な細胞が発生して癌化すると考えられています。

ご存じない方は「口腔内にも癌ができるの?」と驚かれるかもしれません。それだけ口腔癌は認知度が低いのですが、頭や喉にできる癌の中では、喉頭癌に次いで多いのが口腔癌なのです。日本における口腔癌に罹患した患者は1975年には2,100人でしたが、2005年には6,900人、2015年には7,800人になると予測されています。これは、癌全体からすれば約1~2%と低い数値ですが、全頭頸部癌の約40%を占めています。口腔癌の男女比では3:2と男性に多く、年齢層では60歳代に最も多い癌なのです。高齢化に伴い、口腔癌に罹患する患者数も増加の傾向にあります。
口腔癌の症状

舌癌
歯が欠けたりむし歯になったりして尖った部分がある、詰め物や被せ物の不適合、入れ歯が合わないなど、舌に慢性的な刺激が加わると、口腔癌を発症する場合があります。初期段階では潰瘍やびらんができますが、進行するにつれて、食事のときにしみる、歯ブラシが当たって痛むという自覚症状が現れてきます。さらに進むと、食事をするのが困難になる、言葉が発音できないなどの障害が起こり、癌が舌のつけ根や咽頭部に達すると舌を動かせなくなることもあります。![]() |
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潰瘍型の舌癌 | 白い“できもの”ができた舌癌 | 隆起した症例の舌癌 |
歯肉癌
歯肉癌の多くは上顎より下顎に発症することが多く、奥歯の近くにみられます。初期段階では歯肉が腫れるくらいで、強い痛みはありません。進行すると潰瘍やしこりができ、腫瘍が大きくなって表面がカリフラワー状に盛り上がり、出血がみられます。腫瘍が下顎の神経まで進行すると、下唇の麻痺や歯の傷みを感じることがあり、むし歯と勘違いして放置した結果、治療が遅れるケースも報告されています。癌が咽頭部にまで広がると、顎を動かしにくい、口が大きく開かなくなるといった症状が出ます。![]() |
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赤くただれた歯肉癌 | 潰瘍タイプの歯肉癌 | 隆起した症例の歯肉癌 |
口腔底癌

左の写真は、口底が深くえぐれた口腔底癌です。
頬粘膜癌

左の写真は、頬粘膜に“できもの”ができた頬粘膜癌です。
口蓋癌

左の写真は、口蓋に隆起した口蓋癌です。
口唇癌

左の写真は、唇にできたイボ状の口唇癌。

口腔癌から大切な命を守るために

口腔癌の5年生存率は60~80%と比較的高く、初期の段階で発見・治療をすれば、十分に元の生活を取り戻すことが可能です。しかしかなりステージが進んでしまうと、命を救うために手術で舌や顎の骨を切除しなければならなくなり、食事や会話がとても不自由になります。アメリカをはじめとした歯科先進国では、口腔癌の早期発見・治療が積極的に行われているため、癌になる確率は高くても、死亡率は減少傾向にあります。しかし、日本はどちらも増加の一途をたどっています。この違いは一体どこにあるのでしょうか?

口腔癌の自覚症状で多く見られるのが、口腔内の痛みや腫れ、潰瘍、出血、口臭などです。これらをむし歯や歯周病、口内炎といった口腔内疾患だと思い込み、気が付かないうちに癌が進行していた、というケースも少なくありません。また、初期の段階ではほとんど痛みがないため気が付かない場合があります。
歯肉が腫れる、しこりがある、治りにくい口内炎や傷があるときは、口腔癌を疑ったほうがよいでしょう。
日ごろから気をつけること

- 過度なタバコ、お酒の摂取を控える
- 偏食せず、バランス良い食生活を心がける
- 歯磨きやうがいを習慣化して口腔内を清潔に保つ
- 合わない入れ歯、破れたかぶせ物、治療していないむし歯があれば放置せず、適宜治療を受ける
進行したむし歯を放置したり、合わない入れ歯をそのまま使っていて舌や頬を傷つけていたり、口腔内が歯垢や歯石で汚れていたりすると口腔癌が発生しやすくなります。つまり口腔癌の予防で大切なことは、かかりつけの歯科医院を持って、定期的な診療を受けることなのです。むし歯の適切な治療、こまめな入れ歯の調整、むし歯や歯周病を予防するためのクリーニングなどを受けることで口腔内は清潔に保たれ、口腔癌のリスクを下げることにつながります。それと同時に癌を寄せつけない生活習慣(タバコを吸わない、お酒を控える、ストレスを溜めない、バランスよい食生活、適度なスポーツなど)を心がけましょう。
口腔癌にならないために、自宅でもできるセルフチェックリストです。
チェックしてみて思い当たるところがあれば、すぐにあべひろ総合歯科でご相談ください。

- なかなか治らないしこりや腫れはないか?
- 赤くなっていたり、白くなっているところはないか?
- 2週間以上治っていない口内炎はないか?
- 合わない入れ歯を使っていないか?
- 食べ物が飲み込みにくいなどはないか?
- 1日にタバコを40本以上吸うか?
- 1日に日本酒を3合以上飲むか?
- 口が開きにくくなってきたりしていないか?
- 唇や舌がしびれたりしないか?
- 抜歯後など、口内の傷の治りが悪くなってないか?
最後に

