外科的歯内療法
外科的歯内療法とは?

この処置を行った後でも、レントゲンで確認した際、根の先に溜まった膿が小さくならず留まったままである場合、今度は歯の中からではなく、歯肉を切開し歯を支えている骨を削り、外側から膿を取り出すという外科的処置を行います。これを“外科的歯内療法”と言います。
- 通常の根幹治療では完治しなかった場合
- 土台として入っている金属が大きく長いため、取り除くのが困難な場合
- オールセラミックなど高価な補綴物が使われており、壊さずに治療を行いたい場合
表面麻酔を用いて、無痛的に麻酔を行います。その後、歯肉を切開し、歯を支えている骨を病巣が見えるように最小限の範囲で削ります。
病巣(膿の袋)を取り除きます。
感染が残っている歯根の先端部分を切断して取り除きます。
根管の断面をMTAセメントで封鎖します。
歯肉を縫い合わせて終了です。術後は出血や腫れが出ることがありますが個人差があり、程度は様々です。抗生剤と鎮痛剤を処方して、痛みと腫れを最小限に抑えます。削った骨は徐々に回復していきます。その後は3ヶ月程度、予後を観察します。
歯根の先に膿が溜まる原因

ですが、歯根は元々とても複雑な形をしていることに加え、人によっては根幹がHの形、場合によってはあみだクジのように横の棒が複数本存在するイスムスという形状や、根幹が魚のヒレのような形をしているフィンと呼ばれる特殊な根管の形をしている場合は、専用器具を使っても神経を完全に取り除くことが大変困難なため、根管に雑菌が残ってしまったり、また薬剤をキッチリ詰め込むことが難しいので、根幹治療だけで完全な治療を行うことが難しい場合があります。
また、歯根の形の問題以外にも、
- 根幹治療で使用した器具の先端が折れてしまい、歯根に残ったまま封鎖して治療を終了してしまった
- 根っこの部分にヒビが入り、雑菌が繁殖してしまった
- 自己免疫の力が低下しており、根管治療がうまくいっても根の先にあった炎症を解消しきれずに膿の袋として残ってしまった
- 歯周病があり、その菌が根の先まで届いてしまった
膿を放置するとどうなる?
歯根の先で炎症が起き、そこに膿が溜まってしまうと身体の免疫反応でその膿を上皮と呼ばれる薄い膜で覆ってしまいます。この状態だと身体に吸収されることがないので、そのままそこに留まってしまうこととなるのですが、この状態を歯根膿疱(しこんのうほう)と呼びます。また上皮ではなく肉芽腫(繊維質のかたまり)が膿を囲んでしまう状態の場合は、歯根肉芽腫(しこんにくげしゅ)と呼びますが、こちらも自然治癒することはありません。

また、歯根膿疱があっても特に痛みや炎症も無く、レントゲンを撮って初めて知ったという患者さんも多いのですが、将来的に痛みが起きるなどトラブルを起こす可能性が高く、抜歯に至る原因にもなりうるため、歯科医師による正確な診査診断が必要です。

また、上顎に歯根膿疱があった場合はすぐそばに上顎洞と呼ばれる鼻につながる穴が開いているため、そこに膿が入り込むと副鼻腔炎や蓄膿症を起こしてしまう場合があります。副鼻腔炎や蓄膿症になると頭痛もしてきますし、嫌な臭いも出てきます。この症状で耳鼻科へ訪れても歯が原因であるとわからないケースもあるため、注意が必要です。
また、歯根膿疱は掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)と呼ばれる、手足に嚢胞が現れる病気の原因にもなりうるとの見解もあります。掌蹠膿疱症の正確な原因はまだよくわかっていませんが、慢性的な炎症が原因となって生じる可能性があると考えられており、歯根膿疱が身体にあることで掌蹠膿疱症を誘発する一因となっている可能性は否定できません。
設備の整ったあべひろ総合歯科で安心安全な治療を

あべひろ総合歯科では、最新の設備を整えておりますので、外科的歯内療法という大変細かな作業を伴う治療を得意としております。根幹治療で神経を取り除くと、その穴の直径は0.1~0.2mm程度、それを0.4~0.5mmくらいに拡大させます。そんな小さな穴の中に入り込んでいる細菌の除去を行う作業には、やはり最新のCT・レントゲン機器による正確な診査診断と、高性能マイクロスコープによる拡大しながらの作業、何よりも重要なのはこれまでの経験や正確な治療技術です。
